PARTNERS FUND中村氏が語るAIガバナンスの可能性「AI共創総研が、日本における意思決定のあり方を変えていく」
株式会社AI共創総研は、シードラウンドにおいてPARTNERS FUNDより5,000万円の資金調達を完了いたしました。
本調達により、AIガバナンスに関連するサービスのさらなる強化および開発体制の拡充を加速させてまいります。

投資の理由:AIガバナンス領域への期待と藤井CEOの市場適正を評価

(右)PARTNERS FUND 代表パートナー 中村 雅人 氏(左)株式会社AI共創総研 代表取締役 CEO 藤井 涼
藤井(AI共創総研):
本日はお時間をいただきありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。まず最初に、AI共創総研に投資をすることに決めていただいた理由について、お伺いさせてください。
中村(PARTNERS FUND):
はい、本日はよろしくお願いいたします。まず、AI共創総研に投資を決めた理由というのは、大きく2つございます。
1つ目は、やはりこの「AIガバナンス」と言われる領域に対して、大きな可能性を感じているためです。昨今、EUにおけるAI法(EU AI Act)の整備が進んでいるほか、日本においても経済産業省、総務省、文部科学省などがAI活用に関するルールメイキングを進めています。こうした時代背景を踏まえると、企業がAIを活用していく上では、何らかのレギュレーションに準拠していくことが求められる状況が今後より一層強まっていくことが想像されます。
また、仮に明確な規制が存在しない状況であったとしても、企業がAI活用を前提に事業を推進していく現在においては、「AIをどのように使うか」だけではなく、「いかに安全かつ適切に使うか」という観点が不可欠になります。そうした意味で、ガバナンスは単なるリスク管理の枠を超え、企業の価値創出を支える重要なピースになると考えております。さらに今後は、ISO対応やEU AI Actといった規制を前提としたレポーティングやレビューを見据えた運用設計が求められるようになり、単なる方針策定ではなく、実務レベルでの統制設計・実装力がより重要になっていくと考えています。
このような背景から、AIガバナンスという領域そのものに対して強い投資意義を感じ、本領域において投資を行うことを決意いたしました。
藤井(AI共創総研):
ありがとうございます。投資家としてもAIガバナンス領域への期待感がふくらんでいることをお伺いでき自信になります。二つ目の理由は何でしょうか。
中村(PARTNERS FUND):
そして2つ目は、「起業家である藤井さん個人への投資」という側面です。藤井さんは、この領域に関する非常に深いドメイン知識を有しています。KPMGあずさ監査法人時代には、AI Assurance Groupに所属し、AIに関する保証業務に従事されていました。この経験を通じて、AIのリスクや統制に関する実務的な知見を培われています。加えて、藤井さんはAIエンジニアやデータサイエンティストとしてのキャリアも持っており、AIという技術そのものに対する深い理解を備えています。つまり、AIエンジニアリングの知見と、監査法人における統制・保証の知見を併せ持っている点が、この領域に挑む起業家として非常に適していると感じました。こうしたISO対応やEU AI Actといった規制を前提とした実務まで見据えられる点は、他のプレイヤーにはない強みであると評価しています。このような技術と統制、そして規制対応を横断できる体制は、AIガバナンスという領域において非常に希少であり、今後ますます価値が高まっていくと考えています。
さらに、藤井さんに投資を決めた理由として、もう一つ重要な要素があります。それは、「人を巻き込む力」です。例えば、AI関連のシンポジウムへの登壇をきっかけにネットワークを広げ、そのネットワークを起点としてイベントを開催したり、新たな仲間を巻き込んでいくなど、共感を生み出しながら組織やコミュニティを形成していく力に非常に長けていると感じました。また、そうした行動の裏側には、強いアグレッシブさも感じています。起業家として重要な資質の一つである「恥をかくことを恐れない姿勢」、すなわち失敗や批判を受けることを前提としてでも前に進む覚悟が備わっていると感じました。
スタートアップが成功へと至る道筋においては、確実に厳しい局面や困難な意思決定を求められる場面が数多く存在します。そうした環境下においても挑戦を続けていける人物であると確信し、パートナーズファンドとして、そして私個人としても、藤井さんにベットしたいと考え、今回の投資に至りました。
AIドリブン経営時代におけるガバナンスは、「守りの要素」から「競争力強化の触媒」に転換される
藤井(AI共創総研):
今後、このようなAIガバナンスの領域について、先ほども見立てを語っていただきましたが、改めてこの領域のトレンドについてはどのようにお考えでしょうか。

中村(PARTNERS FUND):
そうですね。AIガバナンスという領域は、先ほども少し触れましたが、単なるディフェンスの話ではないと考えています。現在は、いわゆるAIドリブン経営が当たり前になりつつある時代です。その中で、AIを活用する上で生じる説明責任の問題や、それを扱う人材の能力をどのように担保するかといった論点が、非常に重要になってきています。従来、ガバナンスというと、セキュリティやリーガルリスクといった領域にフォーカスされがちでしたが、今後はそれに加えて、より「攻め」の要素が組み込まれていく点が特徴的だと考えています。また、従来の情報セキュリティとの違いという観点も重要です。これまでの技術進歩というのは、一見速いように見えても、それがビジネスにおいて直接的な競争優位を生むかというと、必ずしもそうではない側面がありました。
一方で、現在のAIの進歩は明らかに異なります。この記事を読まれている皆様も肌感覚で理解されている通り、「AIを活用しないこと自体がリスクになる時代」に突入しています。こうした状況においては、単にリスクを議論するだけではなく、AIの技術的な理解と、統制や規制に関する理解の両方を踏まえた意思決定が求められます。そういった意味でも、AIエンジニアリングと監査・統制の知見を併せ持ち、さらに規制対応まで見据えられるプレイヤーの重要性は、今後さらに高まっていくと考えています。

藤井(AI共創総研):
なるほど、非常に興味深いですね。今のお話にもありましたが、従来のITとAIにおける進歩のスピードの違いというのは、私自身も非常に強く感じている部分です。まさにその通りだと思います。こうした時代においては、企業がリスクを取ること自体が、成長あるいは存続の条件の一つになってくると考えています。その意味で、ガバナンスというものも、従来のような守りの機能としてではなく、経営戦略の一部として組み込まれていくべきものになるのではないかと思います。
例えばこれまでであれば、セキュリティチェックを行う際には情報システム部門が中心となり、いわばディフェンス側のメンバーのみでレビューを完結させるケースが一般的だったと思います。しかし今後は、それだけでは不十分になってくると考えています。例えば採用領域においてAIを活用する場合でも、その活用によって企業がどのような価値を得たいのかという「オフェンス側の論点」と、それに伴ってどのようなリスクが発生するのかという「ディフェンス側の論点」を、同じ土俵に乗せた上で意思決定を行う必要が出てきます。
つまり、オフェンスとディフェンスを分断して考えるのではなく、両者を統合し、トレードオフを踏まえながら判断していく意思決定モデルが、今後の企業には求められていくのではないかと考えています。
我々AI共創総研は、こうした考え方に基づき、この領域におけるサービス提供を行っていきます。現在はコンサルティングおよびプロダクトの両面から、この思想を具体的な形に落とし込んでいるというのが、現時点での我々のアプローチになります。
中村(PARTNERS FUND):
熱弁されますね(笑)。まさにその、攻守両面のガバナンスの発想ができるのは技術者としてのバックグラウンドと監査法人時代に培ったディフェンスの知見の賜物だと思いますので、自信を持ってアピールをしていってほしいです。
AI共創総研にはこの領域を日本で代表する牽引者であってほしい
藤井(AI共創総研):
それでは最後に、今回の投資を経て、今後我々に期待していることについて、改めてお聞かせいただけますでしょうか。
中村(PARTNERS FUND):
はい。我々としては、今後ますますAI活用に関する周辺のルール設計や、ビジネス上のリスクポイントというものが大きく変化していくと考えています。
そうした環境の変化を的確にキャッチアップし、その情報をもとに、企業が直面する課題に対して適切な解決策を提供できるソリューションを継続的に生み出していける組織へと成長していただきたいと考えています。また、日本においては、この領域におけるベストプラクティスがまだ確立されていないのが実情です。そのため、藤井さんをはじめとするAI共創総研の皆様には、ぜひイニシアチブを持ってこの領域を牽引していただきたいと考えています。
単に既存の枠組みに従うのではなく、AI時代におけるガバナンスや統制、さらにはマネジメントのあり方そのものをデザインしていく、そのような役割を担う存在になっていただきたいと思っています。将来的には、「AI時代のガバナンスといえばAI共創総研だよね」と言われるような、日本を代表する存在になっていただくことを期待しています。

対談者
(右)PARTNERS FUND 代表パートナー 中村 雅人様
武田薬品時代から研究者のスピンアウト起業支援に携わり、一貫してスタートアップ起業家と働いてきた。PARTNERS FUND参画後はヘルスケア領域やGo-Global投資先の支援に従事。米国、英国、中国に住んでいた経験を活かし、日本とグローバルをつなげる仕組み化に取り組む。
(左)株式会社AI共創総研 代表取締役 CEO 藤井
KPMGあずさ監査法人「AI Assurance Group」において、AIガバナンスに特化した専門チームの一員としてAIリスクアセスメントサービスの開発に従事。その後、大手企業向けAIガバナンス体制の構築支援や自治体向けAI品質保証プロジェクトに従事し、AIガバナンス・リスクマネジメントに関する講演・登壇実績も多数。早稲田大学 基幹理工学部卒業。
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